さばみそ日記

面白いか面白くないかは置いといて、読んだら何か言ってくれるとうれしいです。喜びでちょっと跳ねます。

マルチと世界

 マルチ商法というものを聞いたことがあるだろうか。正確に言うと連鎖販売取引、会員になった人が口コミで連鎖的に売っていく商法のことだ。自分が紹介した人が会員になり、売り上げが増えれば、紹介料が会社から自分に入る仕組みになっている。これはアメリカでは認められていて、amwayという会社のボスもアメリカ商工会議所の会頭になっている。儲かっているのは間違いない。

 マルチ商法の勧誘を何年か前に受けたことがある私の経験から言わせてもらうと、マルチの直販員というのは、儲けられる人と儲けられない人が分かれる仕事である。マルチ商法で儲けるために必要なのは、「たくさんの知り合い」と「営業力」この二つだ。

 一部の直販員の名誉のために言っておくと、何人かの直販員は悪いことをしているつもりはない。むしろいいことをしていると本気で思っている。

 私はマルチ商法で目が血走って大変なことになっている人を知っている。問題が起こりまくっていることも知っている。それによって日本ではマルチ商法のイメージはかなり悪い。私もいいイメージはもっていない。友達からその話を振られると非常に悲しい気持ちになる。だから私はそのような思いを持つ人を増やしたくない。だからそれを広めるようなことはしない。私の倫理観に合わないことをやる必要はない。

 マルチをやっても友達が減らないのならやる。だが、マルチをやったらほぼ減ると思っていい。なぜなら私がマルチを持ち掛けられたらその友達に対して悲しい気持ちになるからだ。私はマルチで儲けられるような人ではない。自分の利益になるということを隠して「あなたのためなのです」という顔をして近づくようなことはしない。それで得られたかもしれないお金は、もともとなかったお金なのだ。成功を望む人すべてが幸せになれる社会は、成功を望む人にとっては素晴らしい社会かもしれないが、成功を望まない人には生きづらい社会かもしれない。どんな人も良く暮らせる社会の方がストレスなくて楽しいんじゃないか。その人のやさしさだったり喜びだったり満足だったりを公共の福祉に反しない範囲で実現できる社会が私の好きな世界だ。それぞれ好きな世界は違うのだから、それぞれが好きな世界を自分の周りに作り、その世界に共感する人が集まればいいのだ。そしてそれぞれの世界が折り合いをつけながら共存すればよい。

 世界には好きか嫌いかしかないのだ。絶対的な正義はない。それを理解しないなら、自己中心の世界にいると思ってほしい。その口から「私は人のためにやっている」などという言葉を吐かないでほしい。それは巡り巡って自分のためにやっているのだ。落ち着いてよく考えてみてほしい。私たちは同じ人間だ。完璧な人などいない。私が完璧でないようにあなたも完璧ではない。私は社会主義者ではないが、貧困の人たちをできるだけ助けたいと思う。私は貧困層ではない。むしろ富裕層側だ。十分な衣食住があり、属するコミュニティがあって、毎日楽しんで生きている。貧困層には私より多くの才能を持つ人々がたくさんいる。素晴らしい人々がたくさんいる。彼らのことを考えずして何が「世のため人のため」なのだ。

 私は薄っぺらい「利他的な人間」にはなりたくない。